さて、竹炭をパン窯に投入して考えたことをつらつらと書き残しておきます。
持ってきていただいた竹炭は3種。
1.乾燥した竹を炭にしたもの。10センチ程度の大きさ。
2.青い竹を炭にしたもの。同上のサイズ。
3.1~2cmの細かい竹炭
全く知りませんでしたが、乾燥して水分抜いておくか、そのままやるかで炭の性質って変わるらしいです。
というのも炭をつくる過程での竹の収縮率が関係します。
どういうことかと言うと1の炭の場合、乾燥の過程である程度縮んでいるのですが、時間をかけて水分を飛ばしているので大きく縮むことなく形が定まっています。2の場合、炭を作る過程で一気に水分を飛ばすので一気に縮みます。そうなると内部の隙間がぐっと縮まっていわゆる締まったものになる。つまり硬い炭になるわけです。木炭で言うところの白炭のようなものです。
今回放り込んだのは1と2(たぶん)。
いつものように薪で火を起こしておいてそこにふんだんに放り込みました。ちゃんと研究するのであれば時間や温度変化を測るものですが、今回はどのような感じになるか、ってレベルのお試し企画なのでそこまでしていません。
火付は上々。島田さんも「さすがロケットストーブ」と驚いていました。ロケットストーブの吸気力ってずっとうちわをあおぎ続けていると思ってもらったらいいです。
炭は無炎燃焼をするので基本的に炎は上がりません。しかし多少上がっている小さな炎はきれいなブルーです。よく燃えてだんだん窯内の温度も上がって来ました。燃えて継ぎ足すこと約1時間。用意していただいた炭がなくなったところで終了です。
このままいつものように3時間半燃やし続けたらどうなっていたかは正直わかりませんが、ある程度の温度まで上がっていたことは想像できます。ですが、残ったオキを見ていると、いつもの広葉樹の薪を燃やしたあとに似ています。つまり、細かいオキが積み重って、いつまでも赤黒く残りじんわり燃えて、そのうち灰になっていく、という過程です。
ちょっと話がそれますが、当店のパン窯と薪ストーブの薪の燃やし方には決定的な違いがあります。前者は「高温、短時間で激しく燃やす」後者は「低温で長時間じっくり燃やす」です。薪ストーブで激しく早く燃えてしまったら次々薪をくべねばなりませんし、無駄に捨てるエネルギーも多くなってしまいます。なので必要な熱量をできるだけ長く取り出すという燃やし方になります。
対して当店の窯はできるだけ高温にして巨大な窯を温める必要があります。時間がかかると作業や労働時間にも影響を及ぼします。なのでできるだけ短時間で大きなエネルギーをとりだせる燃やし方をします。そういう意味でロケットストーブ式は理にかなっているのです。ロケットストーブ式を家庭用暖房に活かそうと思うと、どうしても蓄熱型にしなければ薪の消費量も作業量も多くなってしまい、現実的ではありません。
竹炭を燃やしたあとのオキ(炭でいいのかな?)を見ていると燃え方としては若干物足りないと感じます。どうしてそうなったのか。おそらく炉内にどんどん放り込むとオキ状態のモノが積み重なって空気の通り道がなくなってしまうことが挙げられます。つまり表面だけしかよく燃えない。薪ですとある程度棒状の形を保っているので積み重なる棒の隙間によく空気が通ります。もちろん薪の表面しか燃えませんが、数本入っていると表面積はそこそこの量になります。
したがって、竹炭をガンガン入れてしまうと入れるほどにオキがたまり温度が上がらない、という広葉樹薪ばかり使うときと同じジレンマが発生してしまうことが予想されます。逆に言えば薪ストーブにはいいのかもしれません。
以上を考えますと、竹炭や粉炭をパン窯のエネルギー源にするには何かしらの工夫が必要になります。
そこでまず思いつくのが、窯の焚口の構造を変えることです。細かい竹炭が燃えやすいように、オキがたまらず空気によく触れるような焚口にすること。浅型のかごのようなものを3段くらい引き出しのように焚口に入れるような構造であればガンガン燃えるように思います。竹炭は木炭よりも火力が高いそうですので魅力的です。このような構造であれば、薪はもちろん、薪割りの過程で出てくる端材も燃やしやすくなります。
以上が初めて竹炭をパン窯に放り込んでみて思ったところです。ちょっとなじみのない人にはマニアックな内容でしたね。
マニアな人にはおそらく次のような疑問が湧いたと思います。
・なぜそこまでして使いにくい竹炭を使うのか?
・そもそも炭は高くて割に合わないでしょ?
わたしも最初に「竹炭ではだめなの?」と尋ねられたときに思ったことです。今日はずいぶん長いのを書いたのでこれの答えはまたの機会に。それと、そもそものうちの窯の構造についても書きますね。
コメント