桃源郷

暮らし

先週まるまるお休みをいただきました。

実は春休みを利用し山梨へ帰省してました。コロナのタイミングとしては微妙でしたがお正月に帰れなかったのといろいろと事情もありまして可能な時に行っておかないと、という感じです。

帰省は毎日ほとんど運転手ばかりで疲れるのは疲れるのですが自分自身にとって心の栄養でもあります。山梨というところはあたりを山に囲まれ(しかも高い!)見てるだけでも飽きない上、大地の歴史が刻まれた地形は興味深く好奇心を刺激してくれます。空は広く少し高台に上がればどこでも雄大な景色が堪能できるのです。その上、フルーツ天国、温泉天国、酒天国。好きなものいっぱいなんです。

だいたいいつも夏休み、正月休み、あるいは法事で11月、という季節が多いのですが3月に訪れるのは初めて。ずっと気になってた桃の花が見れたらいいなぁと思いつつ事前に調べたら例年4月上旬らしいんですね。桜も異常に早く咲いたので葉桜かも…。

関西でたまに目にする桃って単体で咲いてます。そもそもわたしには桃なのか桜の一品種なのかも見分けがつきません。枝ぶりで「桃?かなぁ…」ってぐらいです。その点、山梨はわかりやすい。桃園ですから。

行ってきました。フルーツの一大生産地甲府盆地東部の笛吹・勝沼エリア。まずは高台から。私でもわかりました。眼下に広がるピンクのじゅうたんを敷き詰めたような桃の花が。

想像以上に広い範囲で桃が栽培されているのがわかりました。それに山のふもとや斜面はぶどう、平地は桃という棲み分けがなされていることもはっきりと目視できました。このエリアってほとんど果樹園です。さすがフルーツ王国。

もう少し近くから、ということで果樹園をはしごすると、目に飛び込んでくるのはピンクピンクピンク。もう、春爛漫。栽培管理のため木自体はそれほど大きくありませんが、桜と比べると一つ一つの花はこんもり大きくて見ごたえがあります。今回幸運なことに桜も満開でしてあちこちで桃と桜の競演を目にすることができました。眼福です。

桃、桜、富士山、八ヶ岳、ワイン、…あげるとキリがないほど充実した帰省でとてもすべてを記せませんがあと一つ印象に残ったことを。

昨夏清里高原を訪れたときに、人が多すぎて入れなかった「ROCK」というレストランに今回行ってまいりました。この清里名物の「ROCK」というレストランがあるのが「萌木の村」というところなのですが、数年前からランドスケープ・デザイナーの「ポール・スミザー」さんという方が庭のデザインから植栽を手掛けておられます。ガーデニング等がお好きな方ならポールスミザーさんの名前をご存知の方も多いと思います。私も書店でその名だけは知っていました。

ここの庭がすごく心地よく感じたんです。自然石で花壇を組んだり、広場にウッドチップを敷き詰めたり、パーゴラをきれいに製材された角材でなく曲がったままの木(民家の廃材?)を使ったり。そこにあるものを活用している感じがあるけれど、でも貧乏くさくなくて。植栽をしすぎず広々としていてすっきりすがすがしいのは手入れが行き届いているからだというのが素人目にもわかる。どういう人なんだろうと興味がわいて、亀岡に帰ってきてからさっそくポールスミザーさんの本を入手しました。

剪定の仕方について書かれた本でしたが、非常に共感する部分が多かったです。当店の庭は日本庭園みたいなゾーンがあるんですけど、自分としては雑木や山野草の庭が好みなんです。日本庭園の計算された植栽と非常に整った庭はそれはそれできちんと管理されていると美しいのですが、丸とか四角に剪定し形を維持し続けるのが手間だし不自然だなぁと常々感じます。生垣なんかも刈りこんで平面を出したりすると枝の切り口や葉っぱの不自然に切れた感じが出るのが嫌なのとだんだん中が枯れこんできたりするので透かし剪定が好きなんです。

ポールさんもわりと透かし剪定を勧めていて、剪定の仕方一つでなんか通ずるところがあるなぁ、と。ほかにもどこぞの真似をそっくりするのではなくて、気候や土壌、日あたりに応じて植栽を変える、密にせず光が十分入るようにする、というようなことも。これって野菜の栽培や、パンなど食品づくり、ひいては教育、福祉、ビジネススキルなんかにも通じると思うんです。

お店を休んで遊んでるとお客さんからは怒られそうだし、身内からは家計を心配されますが、子どもに深い思い出を与え、親は心を癒し、また刺激と活力、仕事のヒントを得ることができる機会なのです。
さて、新年度明日から営業再開です。どうぞよろしくお願いします。

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