当店は昭和初期に建てられたいわゆる古民家です。古い建物ですが、古民家としては新しい方かと思います。
この家に約10年住んでみて感じたこと。
とにかく維持管理が大変。
掃除。
風が吹くと天井の隙間から砂や煤のようなものが降ってきます。いつの間にか砂が舞い込んでいるのでほっとくとざらざらします。網戸も窓もあっという間に汚れます。
庭の管理。
敷地が広いので草刈りが大変。砂利のあるところは草刈り機が使えない。除草剤は使いたくないから抜くしかない。
剪定。
生垣、松の木、果樹、その他。雑木が好きだけど、管理の必要な木が多い。作業自体は好きだけど、なんせ数が多い。
家の維持管理。
広くて古い。台風が来ると瓦はずれる、樋いがむ。壁にひび割れ、はがれ。放置しとくと家が傷むので対処。水道や、建具などあちこちガタが来てるので修繕(間にあってないことが多い)。
やってもやってもキリがないので、切羽詰まったものから作業します。なので休日は意識的にとらないと常に作業に追われることになります。
家の規模を考えても、昔は3世代、4世代で暮らすのが当たり前だったのでしょう。上記のような作業も数人の大人で行っていたのではないでしょうか。
現代のような核家族が住むには適していないなぁと実感します。古民家は伝統的な建築物なので維持していきたい、というならばお店や宿、コミュニティスペース、NPO、会社事務所などみんなで維持していく建物として使うのがよいのではないでしょうか。
時々、ものすごくリフォームして外観は古民家だけど中に入ったらマンションみたいな家があります。それも一つの選択肢だし、ずっと住んでるお年寄りが住みやすくするためには必要だったりするのかもしれない。
だけど、現代家電に合わせて手を入れたり、トイレを水洗にしたりとかある程度リフォームは致し方ないとしても、システムから内装から完全に変えてしまうのって古民家がただの意匠になってしまって、らしさが全く失われてしまっていると思う。「自然と折り合いつけて住まう暮し方」、それこそが「古民家暮らし」なんじゃないかなぁ。「昔の人もこうしてたんだなぁ」と思いをはせてみたり。
竪穴式住居に住んでる人がいないように現状残っているいわゆる古民家は無くなっていくでしょう。だけど、「自然と折り合いつけて住まう暮し方」はちゃんと残っていってほしい。現代テクノロジーと昔のアナログテクノロジーを取り入れた自然と調和した住居が理想です。
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