無理はしない
5:30に起きて朝飯前から草刈り。
これだけ日中が暑いと早朝しか動ける時間帯がない。
そりゃ無理すれば動けなくはないけど、体調を崩しては元も子もないので無理はしません。
隣のおじいさんと話をしていたら、昔は30℃を超えると「すごい暑さやなぁ」ってゴルフを中止してたとか。連日35℃を超えるなんてなかったそうです。
夏場は草刈り、薪割りその他もろもろの作業があるのにこの暑さで活動時間が限られるのは辛い。でも無理をして体調崩すのはもっと辛い。
「体調不良でお店休みます」というのは最大限避けたいです(冬にインフルで休んだことがあるけど)。
なにより長い目で見て続けていこうと思うと、”無理をする”を当たり前にしてはいけないと思う。
営業日以外は何をする?
能勢にある『薪パン日々』さんが9月から営業日数を(水木金土日)の5日/週から(木金土日)の4日/週に変更するそうな。
やっぱり薪を継続的に作り出すのに無理があったみたいですね。賢明な判断だと思います。
一日減らすことで薪を作る時間が増えるし、薪の消費量も減るので一石二鳥です。
うちも4日/週で、しかも薪の半量は購入していて、それでも時間がなくて困っている。
日々さん大変やろうな~と常々思っていたのでちょっと安心しました。
お客さんの中には「3日/週も休んで何してるんですか?いいなぁ」という人が少なからずおられます。
こういうとき、「薪割りとか地域の行事とか…買い出しとか仕込みもありますしねぇ」と答えています。
お客さんは「へぇ~」としか言いようがなく、話はそこで終わるのだけど、実際薪割りってイメージがつかないですよね。ふつうは。
パン屋の薪割りサイクル
せっかくなのでうちの店を例に詳しく説明してみます。
薪にする木はいろんなところでいただいてます。造園屋さんや地域の人など。
運んでいただくこともあれば、軽トラを走らせて自分で取りに行くこともあります。
玉切り
このいただいた木は通常薪に適したサイズより大きいので切ることになります。
玉切りと言われる工程ですね。当店の窯の場合30~35cmくらい。
隣の空き地でブルーシートを広げて、馬と呼ぶ台に木を載せてはチェーンソーで切っていきます。
木というのは切って間もないときは水分をたっぷり含んでいるので重いです。運ぶのに一苦労。
立った姿勢で切ることができれば切っているときの腰の負担が減りますが、持ち上げるのが大変になります。
かといって転がした状態のものだとチェーンソーが地面にあたるので少し高くしますが、そうなると中腰での作業となり、腰に負担がかかります。
重い木を動かし、中腰で切り、切ったものをまた運ぶ、という工程がわたしとっては薪割りより辛い時間です。
薪割り
この玉切りした木(玉と呼びます)を薪割り機で割っていきます。
今でこそ機械に頼ってますが以前は斧で割ってました。
針葉樹で変なフシが少なければサクサク作業は進みます。ただそれでも軽トラ一杯分割ろうと思うと1時間半くらいはかかるでしょうか。ずいぶん早くなりましたが。
ちなみに当店の場合、軽トラ一杯分で1週間あるかないかの量です。
積み上げ
この割った薪を乾燥のために積み上げていきます。
薪ストーブユーザーならば使うのは1~2年先でしょうが、薪のパン屋はサイクルがもっともっと早いので積み方もシビアです。
ストックが少ないときは必ず井桁積みという隙間の多い積み方をします。皮を下にして少しでも乾燥が早まるようにします。
この作業がまた時間がかかる。適当にすると乾かない、崩れる、という悲惨な目に遭います。
作業にとれる時間
この(玉切り⇒薪割り⇒積み上げ)のサイクルを一日ですることもあれば玉切りと薪割りを分けることもあります。
わたしはダラダラやるので一日でやるとなると軽トラ1杯~2杯がええとこです。だから年中薪割りに追われることになるんですけど。置き場所の問題もありますが。
日曜日は子どもの相手をしたり、地域の行事(消防団とか消防団とかその他もろもろ)が入ることが多く、作業は月曜か火曜になります。
薪割り以外の用事もあるので薪づくりに取れる時間はせいぜい1日/週ですね。木を取りに行ったりする日も含めて。
雨が続くと悲惨です。
持続可能なシステムをつくろう
長くなりましたが、これが薪窯パン屋の真実です。
4日/週営業がギリギリです。
それでも年齢が上がった時に同じようにできるか、となると疑問です。
労力や保管場所のことも考えると、通常の薪窯パン屋は薪を買っていることが多いのではないでしょうか。
当店と薪パン日々さんはロケットストーブ式の窯を採用しているからこそ、この方法でなんとかやれていると思います。(ロケットストーブ式は半乾燥でもよく燃える)
こうしてみると薪窯パン屋って通常のパン屋と別物だというのがよくわかると思います。
「週3日も休んでいいな」って言われて腑におちないこともありましたが、求道者でもないんだから「楽していいな」って思われるくらいの方がいいのかなと最近は思います。
楽して余裕のある営業ができるようにならないと、老いぼれたときに絶対できませんからね。
そのシステムを確立することが当面の課題です。
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