前回レンガを組んでからの補修について書き記しておきます。
当店の窯はレンガで組んだベースの上から壁土、田んぼ土を塗って仕上げています。前回の補修同様まずは壁土を2センチほどの厚みで塗り、そのあとに田んぼ土を5センチくらいの厚みに塗ります。
なんせ時間がないので、2センチくらいの厚みで塗って、若干乾き気味になってから塗り重ねるつもりで段取りを考えました。
前回は粘土団子を張り付けていく方法をとったのですが、この粘土団子を作るには水分量を少なめにしてそこそこ固いものにしないといけません。ですが、これが土を練るにしても団子をつくるにしても結構しんどい。
だから今回は少し緩めに土を練ってコテで塗ったら楽かな、と思ったわけです。
1月10日よりこの工程が始まりました。16日から営業なので土を乾かせる時間を考えると、12日には終えたい。果たして間に合うのか。
まずはレンガのずれによる隙間を少し固めの土で埋めていきます。きちんと埋めておかないと内部からの煙が漏れてきますから。
そうしてからまずは一番下の層を壁土を練り直したもので塗っていきます。同じ厚みで塗っているようで若干ムラができてしまいす。でも塗り重ねるので終わりよければすべてよしとします。
土を練る。といいますが、これがなかなか大変。
カチカチになった土のブロック、日干し煉瓦のようなものですが、これを練ろうと思うとまず水を吸わせて柔らかくしないといけません。
始めは直接水をかけてしばらく置いていたのですが、土練りのサイクルの中では柔らかくなるほどには吸ってくれません。なので先にハンマーで粉々にする工程が入ります。
そうして粉々になった土片に水をかけて置いておくと若干柔らかくなるので、それを強靭バケツに移してミキサーで練り上げるのです。
このときの水分量が肝心で、あまりに水をかけすぎているとドロドロしすぎますし、逆に少ないとミキサーでも練りづらくなります。あまりに固いとバケツの下の方に練られていない固い土ができてしまい取り出すのにも一苦労します。
コツはバケツ半量の土を若干ドロドロ気味に練っておいて、そこに水分量の少ない土を足していくことです。こうすることで上層、下層とも好みの固さに近づきます。それでも一度は全部フネに移して手作業で均一にしてから使います。
作業スピードと残り時間を計算すると、とうてい終わりそうもない。しかも消防団の出初式やら、十日えびすやらの用事も間に入ってきます。
そこで、次の層以降は田んぼ土をはがしたブロックを張り付けることにしました。見た目は悪いですが、乾燥時間の短縮にもなります。
もくもくと朝8時から夕方6時ころまでの作業が続きます。前はもっと短かったのになぁ、と思って記録を読み返したら2人がかりの作業でした。ひたすら土練りをしてましたけど。
結局、14日にすべての土を使い終えて作業は終了。とはいえ、田んぼ土を張り付けた影響で前回より厚みが若干増したようで土が足りなくなり、窯の頂部だけ薄く土を塗ったかっこ悪い状態での終了です。
どうしようもないのでここは後日土を入手して塗り足すことにしました。
翌日、さっそく火入れ。じっくり弱火で。
そして営業再開当日。
1時間早く起きてガンガン焚く。窯からは湯気が立ち上っていました。ベストではないけれどなんとかパンが焼けてほっ。正月早々綱渡りです。
たぶん今の窯での補修はこれが最後です。
次は新しい窯の制作に移りたいと思います。
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